「保育士の給料はいくら?」
「保育士の給料を上げる方法を知りたい」
保育士として働き続ける中で、「今の給料は高いのか? 低いのか?」と迷う方も多いでしょう。
ただし、これはあくまで全国平均であり、実際の金額は働く地域や施設の種類、経験年数によって大きく異なります。
中には月給20万円台前半で働いている人もいれば、役職や都市部勤務で30万円を超えるケースもあります。
この記事では、保育士の給料事情を正確に把握できるよう、平均月収や年収の相場をはじめ、公立・私立の違い、年齢・勤続年数による変化、そして給料を上げるための具体的な方法まで詳しく解説します。
「今の職場にいていいのか悩んでいる」「もっと収入を増やしたい」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

保育士の給料はいくら?
保育士の給料は全国平均で26万円程度です。
ただし、勤務形態や地域、運営主体、経験年数などによって左右されます。
ここでは、全国的な平均や働き方別の給料相場を確認し、自分の給料が妥当かどうかを判断する参考にしてみましょう。
- 保育士の給料は全国平均で26万円程度
- 保育士のパートの平均給料は時給1,348円
保育士の給料は全国平均で26万円程度
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和4年度)」によると、保育士の月収平均はおよそ26万4,000円です。
これは手取りではなく、基本給に諸手当を含めた支給額になります。
また、年収ベースで見ると、約390万〜400万円前後です。
性別 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
男性保育士 | 29.2万円 | 410万円 |
女性保育士 | 26.8万円 | 381万円 |
保育士のボーナスを年間約2~3ヶ月分支給されるケースが多く、それが年収に反映されています。
ただし都市部と地方では差が大きく、地方では月収22〜24万円程度にとどまることも。
逆に東京や神奈川、大阪などでは上記平均よりも高い水準で推移する傾向があります。
保育士のパートの平均給料は時給1,348円
令和6年賃金構造基本統計調査(臨時労働者)より、保育士の平均時給は1,348円とされています。
年齢 | 労働日数 | 1日あたりの労働時間 | 時給 |
---|---|---|---|
50.3歳 | 12.6日 | 6時間 | 1,348円 |
参考:e-Stat│令和6年賃金構造基本統計調査(臨時労働者)
都道府県 | 時給 |
---|---|
東京 | 約1,290円~1,529円 |
大阪 | 約1,200円~1,400円 |
広島 | 約1,100円 |
静岡 | 約1,100円 |
※編集者調べによる
都市部では1,400円を超える求人も増えており、特に早朝・夕方勤務、または土日祝に対応可能な人材には高時給が提示されることもあります。
ボーナスや各種手当はつかないことが多く、正社員と比べると年収ベースでは大きな差が生じやすい傾向にあります。
ただし、短時間勤務や扶養内での調整がしやすいため、子育て中の方や副業として保育に関わる人にとっては柔軟な働き方が可能です。
保育士の給料は公立と私立で変わる?
保育士の給与は、勤務先が公立保育園か私立保育園かによって大きく異なります。
保育士の給料の差は以下の通りです。
保育士の給料の差額 | |
---|---|
公立保育園 | 26.5万円 |
私立保育園 | 23.7万円 |
公立保育園では地方公務員として採用されるため、給与体系が安定しており、昇給や賞与、退職金制度なども整備されています。
一方、私立保育園では法人ごとに待遇差が大きく、経営状況により年収の差が数十万円以上になることも珍しくありません。
また、ボーナスの支給額や勤務時間外の手当、有休の取得しやすさにも差があります。
保育士としての働き方を選ぶ上で、「どこで働くか」は給料面だけでなく、長期的なライフプランにも関わる重要な判断材料となります。
公立保育園の給料は26.5万円
給与体系は公務員規定に基づいており、平均月収は約27万円前後です。
施設名 | 月給 |
---|---|
幼保連携型こども園 | 28.6万円 |
保育所型こども園 | 22.2万円 |
保育所 | 28.7万円 |
公立保育園で働く保育士は、自治体に雇用される地方公務員として勤務します。
経験年数に応じて安定的に昇給し、賞与も年間約4ヶ月分が支給されるのが一般的です。
さらに、住居手当・扶養手当・地域手当などが付与される場合もあり、総支給額が30万円を超えることもあります。
福利厚生が充実している点も特徴で、育休取得率が高く、長く働きやすい環境が整っています。
ただし、公立保育士になるには自治体の採用試験に合格する必要があり、倍率が高い地域では競争が激しくなります。
また、配属先が異動になることもあり、希望する園で長期間働けるとは限らない点には注意が必要です。
私立保育園の給料は23.7万円
平均的な月収は22万円〜25万円ほどで、公立と比較するとやや低めの水準となっています。
施設名 | 月給 |
---|---|
幼保連携型こども園 | 20.3万円 |
保育所型こども園 | 25.2万円 |
保育所 | 25.8万円 |
私立保育園で勤務する保育士の給与は、運営母体(社会福祉法人・学校法人・企業など)によって大きく異なります。
特に新卒や経験の浅い保育士では、20万円前後からのスタートとなるケースが多く見られます。
ただし、私立園の中でも待遇が手厚い法人も存在し、賞与3ヶ月分以上や住宅補助、処遇改善加算をしっかり反映する園では、公立並みかそれ以上の年収になることもあります。
保育士の年齢別の給料
保育士の年齢別の給料は以下の通りです。
年齢 | 月給 | 年収 |
---|---|---|
20~24歳 | 23.6万円 | 330.4万円 |
25~29歳 | 25.8万円 | 361.2万円 |
30~34歳 | 27.0万円 | 378.0万円 |
35~39歳 | 28.9万円 | 404.6万円 |
40~44歳 | 28.3万円 | 396.2万円 |
45~49歳 | 29.4万円 | 411.6万円 |
50~54歳 | 29.4万円 | 411.6万円 |
55~59歳 | 30.9万円 | 432.6万円 |
60~64歳 | 30.2万円 | 422.8万円 |
65~69歳 | 26.5万円 | 371.0万円 |
70歳以上 | 45.1万円 | 631.4万円 |
※平均年収は支給額×12か月+年間賞与そのた特別給与額で計算
保育士の給料は、年齢とともに徐々に上昇する傾向がありますが、その上がり幅は他業種と比較して緩やかです。
年齢が上がるごとに給与も上がっていくものの、30代後半から40代以降にかけては頭打ちになるケースも多く見られます。
20代では月収23万〜25万円が平均であり、ボーナスを含めた年収は300万〜330万円前後です。
30代に入ると27万円前後に増加し、主任やリーダー職に昇格すれば月収28万〜30万円も期待できます。
40代以降では役職に就いていない場合、昇給ペースが鈍化し、25万〜28万円程度で推移するケースが多く見られます。
保育士は年齢による自動昇給が少なく、役職や転職によってポジションを変えなければ収入の大幅アップは見込みにくいという現実もあります。
年齢を重ねるごとに待遇改善を図るためには、早い段階からキャリアアップや環境の見直しを意識することが重要です。
保育士の勤続年数別の給料
保育士の勤続年数別の給料は以下の通りです。
勤続年数 | 月給 | 年収 |
---|---|---|
1~2年 | 23.6万円 | 330.4万円 |
3~4年 | 24.3万円 | 340.2万円 |
5~9年 | 25.1万円 | 351.4万円 |
10~14年 | 27.7万円 | 387.8万円 |
15年以上 | 29.2万円 | 408.8万円 |
※平均年収は支給額×12か月+年間賞与そのた特別給与額で計算
保育士の給与は勤続年数とともに上がっていく傾向がありますが、その上昇幅は決して大きいとは言えません。
勤続1〜2年では月収23万円前後が相場であり、5年を超えると25万円程度まで伸びます。
10年以上勤めると27万円前後に到達するケースもありますが、それ以上の昇給は役職に就かなければ難しいのが実情です。
特に私立園では昇給が年に数百円〜1,000円台にとどまることも多く、同じ園に長く勤めても大幅な給与アップは期待しづらい構造となっています。
逆に公立保育士は地方公務員として勤務するため、勤続年数に応じた昇給制度が明確で、毎年数千円〜1万円単位の昇給が行われる場合もあります。
保育士の給料は今後上がるのか?

参考:子ども家庭庁│公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について
保育士の給料は今後、緩やかではあるものの上昇傾向にあると予測されています。
特に、保育士確保に向けた「処遇改善等加算」や「キャリアアップ研修制度」が進んでおり、現場の待遇改善が少しずつ進行しています。
実際、令和4年度2月からの「教育・保育の現場で働く方々の収入の引上げ」にも、保育士の収入を3%程度(月給9,000円)引き上げる方針が示されました。
- 保育所
- 幼稚園
- 認定こども園
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 居宅訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 特例保育を行う施設
また、子ども家庭庁が10.7%の賃上げを発表されています。
令和6年の「人事院勧告」では、民間企業と公務員との差を解消する目的で勧告されました。
過去10年間の引上げ率としても最大規模なことから、今後も給与面の改善がされることが期待されます。
参考:こども家庭庁成育局保育政策課|令和6年度保育関係補正予算の概要
保育士の給料を上げる方法4選
保育士の給料を上げる方法は以下の通りです。
- 転職して待遇の良い職場に移る
- 資格・キャリアアップで手当をもらう
- 公立保育士を目指す(地方公務員)
- 都市部・待機児童の多い地域で働く
それぞれについて詳しく解説します。
転職して待遇の良い職場に移る
最も即効性が高い方法が、待遇の良い保育園への転職です。
保育士の給与は施設ごとに差があり、同じ仕事内容でも年収で数十万円の違いが出ることもあります。
特に社会福祉法人や公設民営の認可園は処遇が安定しており、賞与も高めです。
以下は、転職先の給料の違いです。
施設の種類 | 平均月給 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
公立保育所(地方公務員) | 27万円 | 71万円 | 396万円 |
私立認可保育園 | 25万円 | 70万円 | 370万円 |
企業主導型保育所 | 23万円 | 65万円 | 341万円 |
小規模保育園 | 22万円 | 60万円 | 324万円 |
公立保育所は、全体に比べてかなり高い給料が見込めます。
特に賞与(ボーナス)が約4.4ヶ月分支給される自治体も多く、年収ベースで見た場合、他の施設よりも50万〜70万円以上の差が出ることもあります。
資格・キャリアアップで手当をもらう
厚生労働省は、保育士の専門性向上と処遇改善を目的として、「保育士等キャリアアップ研修」を実施しています。
この研修を修了し、特定の役職に就くことで、以下のような処遇改善手当が支給される仕組みとなっています。
役職・資格 | 月額手当の目安 |
---|---|
職務分野別リーダー | 月額5,000円〜20,000円 |
専門リーダー | 月額15,000円〜30,000円 |
副主任保育士 | 月額20,000円〜40,000円 |
園長・主任保育士 | 別途設定(施設により異なる) |
参考:厚生労働省│保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善
この研修は多くの自治体で無料、もしくは助成制度つきで提供されており、勤務しながらの受講も可能です。
また、修了証の取得は今後の転職時にも評価対象となり、待遇交渉にも有利に働きます。
収入面に悩む保育士にとって、最も現実的で制度的なサポートが受けられる方法のひとつです。
公立保育士を目指す(地方公務員)
安定した高収入を目指すなら、地方公務員として働く公立保育士を目指すことが効果的です。
公立保育士は自治体職員として採用され、昇給・賞与・福利厚生のすべてが明確に制度化されています。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、平均月収は約27万円、賞与は年間約71万円で、年収はおよそ396万円と私立園より高水準です。
公立保育士の特徴は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
給与水準 | 月収:約27万円、年収:約396万円(平均) |
賞与 | 年間3.8〜4.5ヶ月分(自治体により異なる) |
昇給制度 | 毎年数千円〜1万円以上の定期昇給 |
福利厚生 | 社会保険完備、住宅手当、扶養手当など手厚い |
雇用の安定性 | 公務員として身分が守られ、リストラの心配がない |
ただし、公立保育士になるためには各自治体が実施する公務員採用試験に合格する必要があります。
競争倍率が高い地域もあるため、しっかりと対策を練ることが重要です。
現在の待遇に不満がある場合、公立保育士への転職は中長期的に見て大きな価値を持つ選択肢になります。
都市部・待機児童の多い地域で働く
給料アップを目指すなら、都市部や待機児童が多い地域への就職・転職も有効な手段です。
こうした地域では人材確保の競争が激しく、保育士に対して給与水準を引き上げている施設が多くあります。
令指定都市では、月収が全国平均を上回る求人も多く、同じ仕事内容でも年収で50万円以上の差がつくこともあります。
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まとめ
保育士の給料は、働く施設の種類や地域、役職や経験年数によって大きく異なります。
全国平均は月収26万円前後ですが、公立保育所では約27万円、私立保育園では22〜25万円といった差があり、年収でも最大で数十万円の違いが生じます。
さらに、都市部では給与水準が高く、手取り収入を大きく伸ばすことも可能です。
収入を増やすためには、キャリアアップ研修の修了や主任・施設長への昇格、そして高待遇の施設への転職など、具体的な行動が求められます。
特に、保育士専門の転職サービスを活用することで、求人の質や交渉力が大きく変わります。
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