感情マッチングゲーム(神経衰弱)とその効果

感情マッチングゲームの紹介とその効果

保育士さんにとって、子どもたちの感情理解と表現力を育てることはとても重要な役割です。そこで役立つのが「感情マッチングゲーム」です。大人だったら1度はやったことのある「神経衰弱」の簡易版だと思ってもらえればイメージがつきやすいでしょう!このゲームは、子どもたちがさまざまな感情を識別し、理解し、適切に表現する力を育むのに非常に効果的です。今回は、感情マッチングゲームの遊び方とその効果について詳しく説明します。

感情マッチングゲームとは?

保育士さんも神経衰弱はやってみたことありますよね?記憶力勝負ですし、覚えていたと思ってもゲームが進むと忘れてしまってイライラしてみたり、実はすごく頭の体操になるゲームなのです。それを園児向けにした感情マッチングゲームは、感情を表すカードを使って行う簡単な遊びです。

このゲームは、子どもたちがさまざまな感情を学び、それぞれの感情がどのような状況で生じるかを理解するのに役立ちます。また、記憶力や集中力を鍛える効果もあります。遊びながら感情教育を行うことができるため、保育園や幼稚園で取り入れると非常に効果的です。

このゲームがもたらす影響

感情マッチングゲームを通じて、子どもたちは以下のような効果を得ることができます。

  1. 感情の識別と理解: 子どもたちはさまざまな感情を識別し、その感情がどのような状況で生じるかを理解する力を育てます。
  2. 感情の表現力の向上: 自分の感情を言葉で表現する練習を通じて、感情を適切に伝える能力を身につけます。
  3. 記憶力と集中力の向上: カードの位置を覚えることで記憶力を、カードをめくる際に集中することで集中力を鍛えます。
  4. 共感力の育成: 他の子どもたちの感情について話し合うことで、共感力が育ちます。
  5. 社会性の発達: グループで遊ぶことで、順番を守ることや協力することの大切さを学びます。

感情マッチングゲームの遊び方

準備

  1. 感情カード: 各感情のカードを2枚ずつ用意します(例: 嬉しい、悲しい、怒った、驚いた、怖い、興奮)。
  2. カードをシャッフル: カードをよく混ぜて、裏向きにして並べます。いわゆる神経衰弱の簡易版になります。カードが少ない分子供でもやりやすくなっています。

※参考にカードを作りましたのでご自由にお使いください。2枚プリントアウトして使うイメージです。感情カードを作ることもまた面白いですよね。

 

ゲームの進行

  1. 順番決め: 子どもたちのカードをめくる順番を決めます。
  2. カードをめくる: 順番に2枚のカードをめくります。
  3. ペアを見つける: めくったカードが同じ感情を表していたら、そのペアを取ります。ペアを取った子どもは、もう一度カードをめくることができます。
  4. 感情について話す: ペアを見つけたら、その感情について話します。「この顔はどんな気持ちかな?」、「いつこんな気持ちになった?」などと質問します。
  5. 次の順番: ペアが見つからなかった場合は、次の子どもに順番が移ります。

ゲームの終了

すべてのペアが見つかったらゲーム終了です。最後に、みんなで見つけた感情カードを見返しながら、それぞれの感情についてもう一度お話しします。

 

保護者への説明

感情マッチングゲームを保育園に通わせている保護者に説明することもあるでしょう!そんな時こんな説明をしてみると保護者も納得感が高くなると思います。

「こんにちは!今日は、お子さまたちが楽しみながら感情を学ぶことができる『感情マッチングゲーム』についてご紹介します。このゲームは、神経衰弱の感情版のようなもので、子どもたちは同じ感情を表すカードのペアを見つけていきます。」

「このゲームを通じて、子どもたちはさまざまな感情を識別し、理解する力を育てることができます。さらに、自分の感情を表現する力や、他の子どもたちの感情に共感する力も育まれます。おうちでもぜひ、感情についてお話しする機会を作ってみてくださいね!」

このように説明すれば、保護者の方々もゲームの内容とその効果を理解しやすくなると思います。感情マッチングゲームを通じて、楽しく感情教育を進めていきましょう!

保育園でのゲームの流れの具体な伝え方

  1. カードを並べる:
    • 「みんな、これから楽しいゲームをするよ!まずはこの感情カードを全部裏返しにして並べよう。どんな感情が描かれているかはお楽しみだよ!」
  2. ルール説明:
    • 「このゲームのルールは簡単!順番に2枚のカードをめくって、同じ感情のカードを見つけるんだ。もしペアが見つかったら、その感情についてみんなで話そう!」
  3. ゲーム開始:
    • 「じゃあ、誰から始めるか決めようか。順番に2枚のカードをめくってみてね。ペアが見つからなかったらカードを元に戻して、次の人にバトンタッチ!」
  4. 感情について話す:
    • 「ペアが見つかったら、そのカードの感情について話してみよう。例えば、笑顔のカードが見つかったら、『嬉しい時ってどんな気持ちかな?』とか、『最近、どんなことで嬉しかった?』って聞いてみよう!」
  5. ゲーム終了:
    • 「全部のペアが見つかったらゲーム終了だよ!最後に、見つけた感情カードをもう一度みんなで見て、それぞれの感情についてもう一度お話ししよう!」

 

保育園で想定されるゲーム中の会話の例

例えば、子どもたちが「笑顔」の感情カードを見つけた場合のやり取りはこんな感じです。

  • 保育士: 「おっ、笑顔のカードを見つけたね!笑顔のときって、どんな気持ち?」
  • 子どもA: 「嬉しいときだよ!」
  • 保育士: 「嬉しいときって、例えばどんなとき?」
  • 子どもB: 「お友達と遊んでいるとき!」
  • 保育士: 「いいね、お友達と遊ぶと嬉しくなるよね。他にはどんなときに笑顔になるかな?」
  • 子どもC: 「おやつを食べるとき!」

こんな感じで、子どもたちが自然に感情について話せるように促します。

 

感情マッチングゲームの効果

感情の識別と理解

感情マッチングゲームを通じて、子どもたちはさまざまな感情を識別し、その感情がどのような状況で生じるかを理解する力を育てます。例えば、笑顔のカードを見たときに「嬉しい」という感情を理解し、怒った顔のカードを見たときに「怒り」という感情を認識することができます。これにより、子どもたちは自分の感情を正しく理解し、それを他人に伝える力を養います。

感情の表現力の向上

感情マッチングゲームは、子どもたちが自分の感情を言葉で表現する練習をする良い機会です。ペアを見つけた後にその感情について話すことで、子どもたちは自分の感じたことや経験を言葉にする力を身につけます。これは、コミュニケーションスキルの向上にもつながります。

記憶力と集中力の向上

カードの位置を覚える必要があるため、このゲームは記憶力を鍛えるのに効果的です。また、カードをめくるときに集中する必要があるため、集中力も向上します。子どもたちは楽しく遊びながら、これらの重要なスキルを自然に身につけることができます。

共感力の育成

感情マッチングゲームを通じて、子どもたちは他の子どもたちの感情についても学ぶことができます。例えば、友達が「悲しみ」のカードを見つけたときに、その友達の話を聞いて共感することで、共感力が育ちます。これにより、子どもたちは他人の感情を理解し、思いやりの心を育てることができます。

社会性の発達

このゲームはグループで行うため、順番を守ることや協力することの大切さを学びます。子どもたちは順番にカードをめくり、お互いに助け合いながらペアを見つけることで、社会性や協調性を発達させることができます。

 

研究結果とエビデンス

感情教育に関する研究は、感情マッチングゲームの効果を裏付けています。いくつかの主要な研究結果を紹介します。

感情理解と社会的スキルの関連

研究によれば、幼児期に感情理解を促進する活動に参加する子どもたちは、後の社会的スキルが向上することが示されています。感情を理解し、表現する力が他者との良好な関係を築く基盤となるのです (Denham, 2006)。

感情教育プログラムの効果

感情教育を取り入れたプログラム(例えば、SEL: Social and Emotional Learning)は、子どもたちの感情調整力を高め、学校生活の適応力を向上させることがわかっています (Durlak et al., 2011)。

感情マッチングゲームの具体的効果

感情マッチングゲームのような活動は、子どもたちが感情を言語化する能力を向上させるだけでなく、問題解決能力や対人関係スキルの発達にも寄与することが示されています (Izard et al., 2008)。

長期的なメリット

幼児期に感情教育を受けた子どもたちは、成人期においても高い自己認識と共感力を持ち、精神的健康が良好であることが報告されています (Schonert-Reichl et al., 2015)。

結論

感情マッチングゲームは、子どもたちが感情を理解し、表現する力を育むための素晴らしいツールです。ゲームを通じて楽しみながら学ぶことで、感情教育の重要性を自然に感じることができます。保育士さんは、このゲームを通じて子どもたちの成長をサポートし、豊かな感情生活を送るための基盤を築く手助けをすることができます。

ぜひこのゲームを取り入れて、子どもたちとの楽しい時間を過ごしてみてくださいね!楽しい時間を過ごしながら、たくさんの感情について学ぶことができるはずです。

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